2025-09-09

上村松園の美人画にみる「美人の要」とは

上村松園「春芳」1940

女性の美に対する理想やあこがれを描き出したい

 気づけば今日は重陽のお節句ですね。いかがおすごしでしょうか。年々、夏の暑さが厳しさを増しますが、あの手この手で何とかやりすごしております。今年の夏は、いくつかの美術館や展覧会に出かけました。適切に温度管理された空間の中で美術・芸術に触れるのは、それだけで心地の良いものです。

 私のハイライトは、山種美術館で開催されておりました上村松園の特別展でしょうか。今年は生誕150年記念ということで、春には大阪中之島美術館でも大々的にやっておりましたね。

上村松園「待月」1944

 着物は明確な季節を内包しているが故に、背景に何も描かれていなかったとしても、どんな季節なのかを想像することができます。松園の写実に裏付けられた着物や髪飾りの丁寧な描写に、思わず見入ってしまいます。素材、地紋、刺繍や染め、重ね色目、織り模様、簪…数えればきりがありません。また、髷によって人物像や年齢も読み取れると説明にあり、大変学びがありました。上品で清楚な松園の絵は、観ているこちらの心まで清らかになるような気がいたします。

上村松園「深き秋」1936
上村松園「牡丹雪」1944
上村松園「蛍」1913

(註)上村松園『上村松園全随筆集 青眉抄・青眉抄その後』求龍堂、2010年。
※掲載の上村松園の絵画作品は、日本においてパブリックドメインの状態にあります。特別展にて展示されていない作品も含まれております。著作権フリーの絵画作品を掲載させていただきました。


撮影・レッスンのご相談は、
以下よりお気軽にお問い合わせください。