半世紀の時を越えて光を捉えはじめたカメラ
亡き義父の愛機が和樹さんの手に
先日ご紹介した、感動のヴィルフリート・和樹さんのディナーコンサート。和樹さんは、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のヴァイオリニストであり、写真家でもあります。
1842年に誕生したウィーン・フィル。世界一有名なカメラ-Leica(ライカ)をこの世に生み出したライツ社は、1849年の創業。まさに、同じ時代を生きた同志というべきでしょうか。そのライカで和樹さんが撮影された貴重な写真をディナーコンサートでも一部拝見することができました。
作品は、ウィーン・フィルと共演する世界的な指揮者やソリストたちの息づかいが聞こえてくるような臨場感あふれる写真。なぜなら、リハーサル中に楽団員の和樹さんも演奏しながら撮影している写真なのです。
演奏と演奏のわずかな合間に、ヴァイオリンとカメラを瞬時に持ち替え一瞬で切り取る。そこにいる全員がプロフェッショナルな音楽家。想像しただけでも胃が痛くなるような緊張感です。通常なら、ピントや表情を狙っているとつい没頭してしまいますが、和樹さんの頭の中には曲が流れ続け、次の瞬間には演奏に戻る。長年の積み重ねがあるからこそできる神業だと感じます。
もうすぐ3回忌を迎える義父の趣味でもあったカメラ。その遺品である1955年製のLeica M3 DSを和樹さんに使っていただくことになりました。オーバーホールをして半世紀の時を経て蘇ったカメラ。そして、オーストリア・ウィーンの地で21世紀の音楽家たちを切り取りはじめる…。遺族としては思い入れのあるカメラで和樹さんが撮影された写真が、今回のコンサートで展示されていて感動で胸がいっぱいになりました。
この奇跡を、さぞ義父は喜んでいるだろうと思うばかりです。私も写真を愛する者として大変嬉しく、また刺激になりました。そして、この唯一無二の作品はウィーン・フィルの奏でる音楽と共にこの先何百年も語り続けられるものであると確信しております。
2022年11月〜2023年2月にかけて京都・東京のライカギャラリーにて開催された展示会。「Living Music & the never-ending pursuit of the ideal(理想を追求しながら音楽を生きる)」について、和樹さんが語ったインタビュー記事が以下に掲載されています。
・My Leica Story ー ヴィルフリート・和樹・ヘーデンボルク ー 前編
・My Leica Story ー ヴィルフリート・和樹・ヘーデンボルク ー 後編
※京都・東京ライカギャラリー写真展内の写真は、許可を頂きスマホにて撮影いたしました。
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